九十歳代の男性、今では珍しい茅葺屋根の自宅にご本人と息子夫婦の三人で暮らしていました。
膝が悪く正座はできないので縁側に椅子を置き、庭と客間が見えるところに座っています。
新しい補聴器のお渡し後は短い期間でのフォローが必要です。
何回も伺うのですが、ご本人は口が重く一言二言での会話が常でした。
客間でご挨拶をしているとお嫁さんがお茶を出して下さいます。
その時、必ずご本人より「ありがとう」と一言おっしゃってからお茶を飲んでいました。
その一服をいただく姿、おしいただく姿、感謝を表す姿が自然で美しかったのです。
以来、お茶をいただくときは、その心や所作をまねています。